デフオイルやブレーキオイルは、
「無きのオイル(何も症状が出ない、無の『無き』)」と言って、
乗っていても、劣化したからと言って症状は出ないし。
じゃあ、取り替えたからと言って、効果が出ないんだよ。

エンジンオイルは、ブローバイガスが回るからパワーがなくなったり、
エンジンが重くなったり、かかりが悪くなったりする症状が出るから、
露骨にわかる訳だ。交換すればエンジンが軽くなる。
ミッションオイルも、何となく、そろそろ時期だから変えてみようかな・・・って替えた途端に、
シフトフィーリングがなんかが良くなるし。ああ、やっぱり替えて良かったなって体感出来る。

ところが、デフオイルにしてもブレーキオイルにしても、
パワステオイルにしても、あれは無きのオイルと言って、何の症状もないんですよ。

要するにイメージとして暗いんだ。影もないし。
その代わり、体感出来ない分、重要性は凄く高い訳。

ブレーキオイルが劣化すると沸点が下がってしまう。

ブレーキオイルは、何が命かって言うと、ブレーキパットは踏むと何百℃って温度が上がる。
水だったら泡ボコボコ出して完璧になくなっちゃてる位、沸騰するわけ。

ブレーキオイルには添加剤を合わせて、耐えられるように沸点を下げている。
なぜ沸点を下げるかと言うと、泡立ちしない様(気泡が出来ないよう)にしている。

ブレーキオイルが劣化して来ると、沸点がどんどんどんどん下がって来る。
沸点が下がると、ある日ボコッと気泡が出来る。
1mmの気泡が1個でも出来ると、ブレーキが抜けるからね。
半分以上踏まなきゃ止まらない。スポンジみたいにフワフワになっちゃう。

そうなったら、もうブレーキオイル交換。もしくは少し冷ます。
冷ます事によって、その気泡がブレーキオイルのタンクに戻ってくれるから。
それがふっと抜けちゃうと、もう何事もなかったようになる。要はエア抜きしたのと一緒。

ヨーロッパで、メーカーの指定のブレーキオイル交換時期は、1年に1度なんですよ。
湿気のない国で。
ところが日本は非常に多湿。もう、1年が限度ね。

だから普段から言うように、ベンツの部品にしても何にしても、要するに消耗品って
言われる物は、寿命は本国の大体1/3で劣化していく。

ブレーキオイルがメーカー1年って言ったら、最低でも1年で交換ってのは守らないと。
やっていかなくちゃダメ。

私は良く言ってるけど、「ブレーキオイルの色が変わったら交換時期ですよ」って。
黒くって言うより飴色。
最初は黄色く透き通ってるのが、段々黄色くなり、茶色くなり、黒くなって行く。

それは、変色が始まり出したら、これはもうダメだなって思わないといけない。
そろそろ交換の時期って考えて欲しい。

日本は信号の数が多いんだから、それだけブレーキを使う頻度が高いんですよ。
踏む回数が増えれば、ブレーキパットの温度が上がる。
上がればそれを動かしてるキャリパーの温度も上がるんだから・・・
そこに何が入っているの?って考えたら、オイルしか入ってない。
それと、ブレーキはオイルを冷やす冷却機構を持ってない。


ブレーキのシステムの能力が高いから、それだけ摩擦係数=μが非常に大きい。
摩擦係数が大きいから、それだけ発熱も大きいって事。
何でベンツのパットとローターの減りが早いかって?
それだけ摩擦を増やしてるから減っていく。減らなきゃ止まらないから。

ヨーロッパ人は、安全に対してモラルが高い。

万が一、アウトバーンみたいな所で事故を起こしてしまったとして、
賠償がすごくなっちゃうの。
だから自分の車とか、そう言う物に対して、もの凄く気を使うと言うか。
メーカーが『こうですよ』って言ったら、向こうの人達は絶対に守るもの。
その人達が作ったんだから。作った人間が、『これはこうですよ、ああですよ』って
言うんだから、
それを守るしかないんですよ。安全に運行、維持、管理して行くには。


私は思うんだけど、そう言うのも出来ない・・・
例えば、「お金がないから中古部品使ってくれ」って言われるのとは、
違うと思うんだよ。
車は維持して行きたい、でも部品が数十万する。
だったら「中古品で間に合わせてくれない?」
壊れちゃったらそれはその時考えよう・・・・と。

ところが、それはアフターの部分。
しかし油脂類と言うのは基本的な部分だ。

何でヨーロッパ車が良く止まるかって言うと、
ディスクローターにしても、パットにしても、日本車の比にはならない位のブレーキシステムを使っている。
それを日本の車の、1/3、1/5の寿命で止めていくんだから、それだけ発熱、放熱してるよって事。
その熱をどこで吸収してるの、って考えたらブレーキオイルしかないんだから。

ブレーキホースも然りですよ。ひび割れしてるって事は、劣化しているって事だから、もうホースが硬い。
踏んでもホースが膨らんでくれない。本当ならホースが膨らむから。

そうすると、膨らんでくれるか云々は別にしても、
ホースを替えるとブレーキの効きが変わるから新しいと膨らんでくれる。逆に古いと膨らまない。
そして、ブレーキのタッチが凄く変わる。ベンツ特有の、真綿を絞める様な止まり方。
踏めば踏んだだけ効いてくれる。ちょっと踏めばスーって止まってくれる。
そのさじ加減をブレーキホースがコントロールしてくれている。

距離を走る人だったら、ブレーキホースを替えることによって、フィーリングが違うのが明らかにわかるよ。
「あ、違うな」って、止まり方に高級感が出てくる。
だからサスペンションブッシュと同じ様に、ブレーキホースもある程度のダンパー作動をしているから。

ブレーキオイルは無きのオイルって言ってるけど、
オイルを替えたからと言って、そんなに極端には変わらないよね。
それに付随しているブレーキホースだとか、そういうのも2年に1回位は替えていかないと。
距離を走る人だとか、使い勝手によっても違うだろうけど。
ブレーキオイルとブレーキホース交換をしたら、わかる人は明らかに違いがわかるよ。
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