2、工場長の範囲
で、やってるのは我々現場が一番分かっている訳なんで、
三台も四台も続けて壊れるんだよって。
この車種は、例えば150台売れていれば150台そうなるであろうってなるわけ。
というのは、必ず部品には生産年月日が打ってあるから、 メカニック的に。
「何年生産の、どこ製の部品は必ず壊れる」というふうに
直感的にもう思わなきゃいけない訳。
そのくらい問題意識をもっていれば、その同一車両が入ってきたときは
その作業が行える。そして故障の発生理由なんて、
みんな同じ横並びでやってくるからさ、
「エンジンが止まる」とか「ブレーキの効きがあまくなる」だの、
諸々あるよ。雨漏りしちゃうとか水か漏っちゃうとか。
工場長は作業伝票を先ず見てるんだから、
「また同じ故障が入って来たな」と分かる訳だよ。
その中での工場長として、メカニックみんなに問題意識を持ってもらって始めて、
それを吸い上げていく。
どういうデータだったか、
その時、現場にその結果を聞けばいい事。
同じようなデータあれば
じゃあ、他のも全部やっちゃえと取り替えようってなる。
高級車を扱ってる以上さ、それなりのくらいの事はしてあげるとか
それくらいの気遣いが欲しいやな。
- だからまたそのお店に行きたいと思うんだもんね。
我々メカニックっていうのは、
そのお客さんの命、安全を預っているんであって、
絶対あっちゃいけないのが、「路上エンコ」
最低でもお客さんが調子悪いよって、工場までたどり着けて
それから車を預かるなり、何なりして手当を行う分には
そんなに、お客さんも不平不満言わないんですよ。
「まあしゃねえな」といった具合に。
ところが、路上で止まっちゃいましたは最悪のパターンなんだよね。
所詮機械の集まりもんなんだから、同じ車が二台ありました。
一台はコンディションいいです、もう一台はコンディション悪いです。
どこが違うんだよ。
そして良い方の車の状況を自分で確認、体感しておいて
他の車を比べる。
比べてできるだけ、調子いい車に近づける。
もちろん予算もあるだろうし、なかには年式によって部品を変えなくても
そこまで引き上げられる要素が多々ある訳だよ。
ちょっとした過去の自分の勘だとかそういうのも、惜しみなくつぎ込んでいく。
お客さんにそれは場合によっては言う必要もある場合もあるだろうし、
言う必要もない場合もあるだろうし、
お客さんが感じとってくれればいいことであってと思うんですよ。
それは。
メカニックとして何度も思っちゃう、さっきも話してたけどさ、
メカニックになって何年だ?
まあ何年か経ってるじゃないですか、
ずっとそれをやっていられたっていうのは
なんか他に向いてるものがなかったっていう結論でもいいんだけど。
毎日が勉強じゃないですか、毎回毎回同じようなことが
作業が好き嫌い、得て不得手もあんだろうし、性格もあるだろうし。
この商売で一度そのなんていうのかな。
お客さんが思った通りに直った時に、
ありがとうって言われた時が一番嬉しい訳だよね。
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