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6.経験値が上がる
- 地獄だ凄いね。
そうするとね、なんていうか最終的に、
先輩と「あ、うん。」の呼吸というか、信頼関係が出来て来ると、
人が嫌がる仕事、やっかいな仕事をやらしてくれるんですよ。
- やっかいなのにやらせてくれるんだ。
やらされるんじゃない。
人が嫌がる仕事、やっかいな仕事ほど面白いんですよ。
- いやじゃないの?
嫌じゃないね。
いや、最初は嫌だよそんなもん。
- ぺーぺーは嫌がるの?
やっかいだし、色々嫌なんだ。
そう、熱いじゃねー冷たいじゃねー臭いだの色々言ってるね。体が汚れるだの言ってる。
手はべったべたになるし、頭から足の先までドロドロになっちまうし。
- でも今、このみんなが嫌な仕事をオレに回してくれるって嬉しい言い方になってる。
そうだよ。面白い。
なぜかっていうと、人のやらない仕事っていうことは、
ほかの人がまだ経験していないわけだよ。
それを自分が達成したときっていうのは、自分の経験値が上がるんですよ。
他の人たちが出来ない経験を、自分はさせてもらえてる訳。
- それは、先輩と信頼関係を築いたからこそ?
こいつだったらやるだろうというモチベーションだな。
それをマイナスとしてとらえたら、その人は終っちゃうし、
もう二度とイイ仕事は回って来ないし、
「なんだこいつ、もうそうかよ!」って信頼関係が無くなるわけだよ。
「おー。お前どうよ、ちょっとやってみてくんないか」って言われて
「ああ、いいですよ」って。
そうなるまで、仕事をあたえもらって、後は「じゃあここまでまた分解してしてみろよ」
「俺もやってことがないから、じゃちょっとここまで分解して一緒にみようや」と、
そこでまた教えてくれるわけだよ。
- うんうん。たしかにそれはおもしろくなってくるね。
専門的な知識、マニュアルに載っていない話がそこでは出てくる訳。
面白い体験がそこで入ってくるんだよ。
ジャンジャン吸収出来る訳。
- 出来るねー。
で、割とやっかいな仕事っていうのは、時間の制約ってそんなにないんですよ。
これやって何時までに終らせる、何時間でやれよっという感じ。手間がかかるから
やってみないとわからない、やってみて初めてその結果でどうなるかっていう。
結果どうなるか、そんでその結果をさ、知っていくってのも面白いじゃない。
やる前、誰もわからないんだから、
- うんわからないね。しかもやった人しかわからない。
いいね。やった人しかっていうところがいいね。
そうすると先輩がさ、色んな同僚なんかの先輩が、
「おっ坂本さあ、あれどうだったんだよ大変だっただろうよ。
結局なんだったのよっ」て聞かれてもそれは絶対聞かれても教えない。
- そうだよね。
いやあ、大変でしたよで終っちゃう。
だって彼らはそのやっかいな仕事を嫌がってやらないんだから。
それに、なんとなく現場の流れでわかるんだよ。
仕事が入っているやつの伝票と、なんとなく今ある内容と。
これを終らせちゃうと次、あれが来るだろうな。
それを蹴りたいから、わざと遅らせたり。
そうそう、要領よく立ち回っちゃう訳だよ。
- うんうん
部品取りに行っちゃ、一服しちゃあ帰ってこないとか
それが自分でどうとでもなるっていう仕事のコントロールの良さって言うか
悪さというか。
それでコントロールしないでいれば、おかぶが回ってくる。
良く言えば、ヒトが経験したことのない経験という美味しい思いも出来る。
だから、ある程度仕事をやりながらこれは何時ごろ終るなって分かる訳だよ、
自分でなかば峠過ぎれば、次はあの仕事だなと思うと、
手ぐすね引くわけだよ、そうすると狙い通りその仕事がズッポリ来るわけ。
おし!来たかって感じでコッチはもう承知してるから経験値が上がる。
その積み重ねだと思うんだよね。
いかに人が嫌がる、やっかいな仕事をこなして行くかだよ。
そうすると自分が自分に負けなくなるんだ。
仕事をやっていて、もうめんどくさいなと思ったらそれは自分に負けちゃってるから、
その仕事の完成度は下がるよね。自分に負けるんだ。
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つづきます。 |
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