Talk 1 ~良い状態とは

今回は、プラグにフォーカスを当てて進めたいと思います。

インターネットでのQ&Aで、エンジンの振れや、 エンジンが一発で
かからないなどの症状が出ている個体に スパークプラグの点火の
状態や適切なスパークタイミングなど。

「このあたりの点検をなさってください」ですとか、
「スパークプラグの点火状態等に原因があるのかもしれません。
スパークプラグの汚れも点検なさってはいかがですか」と
いったような、 いままで培ってきた経験測でみなさんにアドバイスや
お話が出来ているのは、 やはりそういう事例が特に頻繁に
発生しているから適切なアドバイスをしていただけていると
思うんですね。

いい圧縮、いい燃料、いい火花

「スパークプラグのいい状態は、どういう状態なのか」 など掘り下げて教えてください。

まず、最近のメルセデスベンツで言うと、 メーカーの指定の
オイル交換のインターバルが長くなったね。

インターバルが長いと“オイルの汚れ”も含めて、 何て言ったら
いいんだろうな、 70年代80年代ぐらいまでさかのぼると、
その頃の外車を乗る人っていうのは、外車の乗り方を
知っているんだよ。
市内をとろとろ走っていると、 スパークプラグがかぶってくる、
くすぶってくる、 汚れてくるっていうのを知っているから、
普段は素通りしていても、時として、高速道路へ行って、
ある程度エンジン回転を上げて長い距離を走る。

それでスパークプラグや燃焼室をキレイに “焼き切って”好調な
状態を保つということをしていたんだよ。

ところが輸入車も安くなったために、 国産車から乗り換える人が
増えてきた。
そうするとクルマ自身は、日本の道路事情に合わせて作って
ないんで、 それを輸入車ビギナーが、 日本車と同じように日本の
街中だけをとろとろ走っちゃうと、 エンジンの スパークプラグが
くすぶり切っちゃう。
それは何かって言うと別に故障じゃなくて、 ハイウェイを走って、
調子が出るようにもともと設計してあるから、 日本の道路で走ると
約7から8万キロで、極端に言うとエンジンが駄目になっちゃう。

なぜかって言うとオイル下がりを起こしちゃうからなんだ。
(オイル下がりの説明はこちら)
雑談:指定オイルが500、1000でも過走行車に入れるのはなぜ!!

 

オイル下がりを起こせば エンジンが不完全燃焼をして、それが
堆積していって、 今でいう『エンジンのチェックランプ』が点いたり 、
云々が出るわけだよ。
今はもうほぼないんだけど、昔石炭のお風呂ってあったんだよ。
それで、石炭のお風呂の煙突っていうのは、ススで煙突内部が
詰まるわけ。
そうすると石炭の燃焼効率が落ちるから、 お風呂の沸きが
遅くなるというので定期的に煙突掃除っていうのはするわけ
なんだよみんな。

それと一緒なんだよ、エンジン内部のシリンダーの中っていうのは。

ススの上にオイルが溜まっていく、また燃えないでそれがカスに
なっていく。
そうなって来るといくら高性能なコンピューター制御されていて、
その時の状態を最適な状態に持っていこうと思っても、
持っていけなくなってくる、限界値を越えちゃうっていうことが
おきるんだよね。

溜まっちゃうから。

そう。溜まっちゃうから。
そうするとモデルによっては、 今のエンジンはシリンダーヘッドの

オーバーホールは出来ない。
シリンダーヘッド、アッセンブリーをひとつの部品として

交換しなくちゃいけないということになるんだよ。

 

それで、燃焼室の状態をどうやってみればいいのかというと、
うちみたいにシリンダーの中を覗くスペシャルツールがあれば、
ある程度判断出来るんだけど、普通じゃそれは無理なんで、

スパークプラグっていうのは燃焼室の中に入り込んでいるから、
スパークプラグの焼けイコール燃焼室の焼けとして判断しても
それは差支えないんじゃないかなと思う。


例えばエンジンのコンピューターのテスターかけました。
オシロスコープかけました。
それでもいまいち判断がつかない時はスパークプラグを外して

「焼け具合」、「状態を見る」っていうのがひとつ必要なのかなと

思うよね。

それとエンジンの回転に伴って、 スパークプラグ6本付いていても、6本共絶対的に完全な火花で飛んでいないんで、 必ず何十回

何百回のうちには1回2回は飛ばない所が出てくるわけよ。

 

なぜかって言うと、いろんな問題があるんだけども、 燃料を

シリンダーに吸い込んだ時っていうのは、渦みたいに燃料を

吸い込むような現象が起きてるんだ。
洗濯機の渦みたいに。

燃料がすいこまれるように出来ている。

 

それじゃないと燃料を吸い込みきれないんだね、
その時の状況によって火が点かない。

スパークプラグっていうのは必ず電気の火花が飛ぶんですよ。
飛ぶんだけれども火が点かない。

それは「レシプロエンジンの宿命」で。

ましてや今の車なんていうのは、 排ガスの兼ね合いだとか、

燃費の兼ね合いがあるので、アイドリング時の燃料の

噴射している量。

極端に言うと、そこにライターの火を付けても点かないぐらい薄い。
だからそれに圧縮をかけて燃えてくれるようにしているんであって、
圧縮をかけるってことは、密は濃くなるんだけども、
火花は飛びにくくなるんですよ。

だから非常に悪条件で火が飛ばないと困るんで、 電圧を

上げるために、イリジウムだとか、プラチナだとかっていうものを
標準で使わざるを得なくなってきた。

 

≪次回へ続く≫

中心電極の先端が丸く消耗すると、火花の飛びが悪くなり、それにより
混合ガスへ安定して着火されなくなる可能性がでてきます。結果的に、
エンジン馬力の低下・燃費の悪化・エンジン寿命への 悪影響を与える
おそれがあります。

□燃費が悪くなった
□アイドリングが不安定になった
□エンジンの始動が悪くなった
□馬力がなくなった感じがする

上記の症状が出てるのであれば交換をお勧めします。