第1話~エンジン
「車を長持ちさせるための秘訣を、今回は教えてください。」

部品の長持ちっていうのは、これがなかなか難しいんだよね。
新品で製造された時点の部品個体のさ、優劣っていうのも

あるでしょ。 出来栄えの良い悪いって。

 

だからそういうのを考えるとなかなか「部品を長持ちさせる」って

いうのは難しいんだよね。

 

ただ車本体を長持ちさせるっていう部分に関しては、
やっぱり一番大事なのは、こまめにメンテ(メンテナンスの略)
をするっていう事だよね。特にオイル関係。油脂類ね。

オイルメンテ。(オイルメンテナンスの略)
うん、もうオイルメンテに勝る長持ちの方法はないね。

「オイル交換をやりましょう。」ってよくガソリンスタンドや
カーショップでも目につきますね。
「どうしてオイルメンテをしなきゃいけないの?」という質問には

どのようにお答えしたらよいですか。

 

「しなきゃいけない理由がわからないから、ついつい後回し」って

いうのがユーザー心理にあると思うんですよ。
オイルメンテをきちんとやると、長持ちはもちろんのこと、

どういう事に繋がるんですかね?

イメージしてほしいんだ。車のエンジンだとかボディだとかっていう

部分に関して、 油っ気が無くなった車っていうのは、

もうギシギシガタガタ、ね。錆びちゃうし。
そういう特殊な音が出るんだよ、油っ気が無くなると。

 

エンジン本体やオイルを使用している箇所に関しても同じ事が

言えるわけ。
エンジンオイルに例えれば、エンジンオイルっていうのは

使用しなくても、 密封した封をポンと切って空気が入った時点から

劣化が始まるからね。
酸化し始めるわけだから。

 

だからメーカーさんが言う、 1万5千キロ、1万キロっていう

スパンのエンジンオイルの交換頻度ね。
例えば、1万キロ走るのにまあ3年かかる人がいるとするよね。

 

「まだ走行距離が1万キロになっていないから、エンジンオイル

交換しない」 そういうユーザーさんがいたとしたら、距離は

推奨している走行距離に達していないけれど、
3年間のうちにどれだけエンジンのオイルが酸化して傷んでいるか

を想像してほしいんだよね。

酸化ですね。酸化。
それはわかるんですけど、ちなみになんですが、
酸化が進むとオイルってどうなるんですか?

簡単に言うと、オイルとしての能力がどんどん低下するわけ。
あとエンジンのクランクシャフトだとかカムシャフトに、
通常エンジンオイルによって被膜を作るわけだよ。

 

だから酸化させちゃうと被膜が作れなくなっちゃうんだよね。
鉄と鉄が直接ぶつかり合って回しているのと同じになっちゃう。

なるほど削れていっちゃうんですね、エンジンの中が。

そうそうそう。
特にエンジン内部に使用しているピストンだとか、
ピストンリングっていうのは、もの凄い勢いで動いているわけ。
そういうものの摩耗っていうのはオイル次第で凄い差が

出てくるんだよね。

 

オイル交換をしていない車両っていうのは、
エンジンのフィラーキャップ開けると中が真っ黒でしょ?

 

あれはオイル交換をしていないから、オイル自体も酸化が

進んでいるし、 エンジンのブローバイガスね。
あれがエンジンの中に回るんだよね。
ブローバイガス再循環装置っていうのがついているからさ。

 

だからもう1回そのブローバイを取り入れて、燃やして出そうって

いう機構。
それがエンジンオイルの中にどんどん入ってっちゃうんだよね。
そうするとああやってスラッジが溜まって真っ黒になっちゃう。
だからそれを無くす為にも、うちでは「3千キロ毎にやって下さい。」って言うんだよね。

ということは、例えばなんですけど、

「3年間に1万キロしか走っていない」 っていう人が、

ずっとオイルをメンテナンスしないでいると、
エンジンが壊れるという考え方でいいんですかね?

壊れます。
まず一番最初に、ピストン、ピストンリング、カムシャフト、
こういう所が全部駄目になってくるね、バルブだとか。
あとシール類の劣化だよね。

 

要するにオイルが酸化されているわけだから、酸なんだからね。
だからどうしてもシール類っていうのは硬化してくるわけでしょ。
これはエンジンオイルをまめに交換していてもシールの硬化は

始まるんだけどさ。

 

オイルの交換をしているのと交換をしてないのとではさ、

大きな差が出てくるわけ。
例えば片方は5年持つものが、2~3年しか持たないとか、

それぐらいの大きな差が出てくるから。

シールが硬くなるとどういう事が起きるんですか?
要するにオイル上がりとオイル下がりだよね。
漏れ出るんですか?
漏れて来るんじゃなくて、エンジンの内部でエンジンオイルが
ピストンの中に入っていっちゃうんだよ。

入っちゃいけない所に入っていくということですかね。
外に漏れるんじゃなくて、中の入っちゃいけない所に漏れ

出しちゃう。

そうそうそう。
表側もタペットカバーのパッキンがあるでしょ。
そんなのも劣化が早く進んでさ、硬くなって、
そこから表に漏れ出す場合もあるんだよね。

外にも漏れるし中にも漏れる。
それがエンジンのオイル交換を実施しないと、

発生する不具合なんですね。
ちなみにサカモトエンジニアリングでは、
エンジンオイル交換のインターバルは、

どのくらいの走行距離数を推奨していますか?

うちはだいたい3千キロ。
または3か月だよね。だから長く使っても6か月。
もう1年使ったらまずいかな。 

 

≪第2話に続く≫