※2013年におうかがいした話です。

-第2回 下準備-
トラップ粘土。
こういう粘土なんですね。
ただの粘土じゃないですか?
まあクルマ用というか、磨きをするには何はなくともトラップ粘土です。
車体のザラつきがこれでキレイに取れちゃうんで、
使用していくとトラップ粘土が徐々に汚れてくるんですよ。
それで1台分をずーとやるんですか?
やるんです、やるんです。(笑)
だってコレ、石鹸の大きさですよ。
(笑)でも、これでボディーのザラつきをビシッと取らないと、
さっき紹介した「ポリッシャー」入れたときに、異物で絡んじゃうんですよ。
コンパウンドが。
だからこれは磨き屋さんの必須アイテムです。
うちで社長のシルバーを磨こうと社長と二人でやった時にその時使ったコンパウンドが、行程が進むにつれてポリッシャーで黒く点になっていってということがありましたね。
よく聞く話ですよね。
おそらくボディーに付着した鉄粉等がみんな絡んじゃうんですよ。
だからその鉄粉をトラップ粘土でツルツルに落としてあげないと、
プロとしてちゃんとした「磨きってやつが出来ない」んですよね。
ちなみにその粘土ってもとの大きさって、どのぐらいなんですか?
これ僕は気に入った専用メーカーのやつを使っているんですけど、
だいたい、僕のこの手のひら分。のこれ2つ分ぐらいの大きさですね。
やっぱり手で掴んでやる大きさがベストですか?
僕は切っています。
このぐらいの手のひらサイズの大きさですね。
これをひとによってさまざまな大きさで使いますが、僕は半分に切っています。

メーカーよっては小さいサイズのところもあれば、
もうちょっとでかいサイズってところもありますね。
規格が手のひらサイズということは、 もうそこは絶対「手仕事」っていうことですか?
やりようによってはマシンも無くもないですね。
バフの表面にトラップ粘土を付着させているというのもあります。
それでしたら、バフで鉄粉を落とすっていうことも可能です。
熟練した人向けですね。
手で触っていて、何かクルマから伝わってくるんですか?
最初に触って「ああ、あるな。」って思ったら僕は手のひらが「センサー」なので、
粘土で鉄粉等を取りながらその具合を触ってさぐりながら調べているんですよ 。
それって、状態として「最高の状態」が手のひらに記憶されていなければ
当然成し得ないというものすごい財産ですね。
そうですね。 もう明らかにわかります。
みなさんや俗に言うボディーが良い状態かそうじゃないか。
グリルや細い所はどのように手入れしますか?
粘土を小さく加工してこうやって入れます。 (やってみせてくれている)
もちろん、事前のチェックをして触って「ザラザラ」していたらですよ。

ただ、この場所はポリッシャーが入らないので、かなりデリケートに行います。
僕が触って手触りがツルっとしていれば「合格」。

これは僕自身の経験なんだけれど、 どこにいっぱい鉄粉がついているかっていうと、
ボディーの上面。 上面に付着物が一番多いですね。
あとはピッチなんかだと下回りです。

ピッチ、タール、というのはタイヤの後ろにつくわけですから、
そこもこれで手仕事になりますが、丁寧に落としていきます。

補足するとピッチに関しては、「専用クリーナー」にて作業を行います。
専用クリーナーで溶かし、落とせるものは落とします。
その他に状態がひどい場合は、方法がありますがじっくり落とします。

タールって油の固まりなんで、これやっても伸びちゃうだけで取れないんで、
専用クリーナーで溶かし取るというのがスタンダードです。

水洗いの洗車が4時間、例えば午前中9時から始まって、
午前中ぐらいの目安でさっき話した内容の全ての洗車が終われば、
午後から磨きに入れるってことですね。

これも洗車の一部です、さっき言った続きでカーシャンプーで洗って、
泥の汚れを落として、泥がついたままやっちゃうと傷だらけにしてしまうので、
洗車をして、鉄粉とかペンキとかのざらつきを落とすために、
トラップ粘土でやっていって、水を切って専用クリーナーして洗車して水を切って
全体的にマスキングをして、いよいよ磨きに入る。
マスキングはなんの為に行うんですか?
いろいろな塵や磨きのダストが入っちゃうとあとでやっかいです。
磨くとみえる粉や見えにくい粉が舞うんですね。
あと、こういう、プラスティックとかゴムとか。
やっぱりポリッシャーに負けてしまい、ダメージを受けて傷んでしまうんですね。
そういう所はしっかりとマスキングで保護します。
特にゴムとかはポリッシャー熱で溶けちゃうんですよ。
これがまずすべての車に共通して行う下準備なんですね。
そうですね、最初はほとんどそこから始めます。

次のコンパウンド工程もスタートと一緒といえば一緒で、
僕の決まったルールとクルマの状態に合わせて手順を踏んでいきます。

≪次回へ続く≫

2013.11.21更新