※2013年におうかがいした話です。

-第5回 光-
さっきから気になっているんですけど、
このたくさんの蛍光灯って何に使うんですか?
基本的にクルマをここへ置くとして、そこの蛍光灯と、
コイツら(蛍光灯群)をここに並べてクルマ全体を光で囲っちゃうんですよ。

このまんまだと傷が見えないので、 蛍光灯を利用して傷を見えるようにしています。
蛍光灯がある周りを見て傷を探しているんですよね。
一般的な蛍光灯って、磨き屋さんの商売道具なんですね。
必須アイテムです。 これがないと磨けないです。
だから僕も出張行って暗い場所ってわかっていた場合は、
コイツらを持っていっちゃいますからね。
ここの天井にあるのも蛍光灯ですよね。
そいつ目的としては、カタチが丸いですよね。
丸い光が欲しいので、天井の明かりと併用して置いています。
太陽の光をイメージして使用しています。
屋内での作業で、いつも太陽が出ているとは限りませんからね。

太陽が当たったところに「ヘアスクラッチ」っていう、 独特な傷が見えるんですよ。
こうやって、ただの蛍光灯などで見た場合だと 「ヘアスクラッチ」が見えないんですよ。
ヘアスクラッチ?
「髪の毛のように細い線」という意味です。
それを見るがために丸いのが欲しいだけです。

だから横を見たいときは、機動性のあるコイツを横に持ってきて照らします。

これも丸なので、ヘアスクラッチが見えます。
しかもコイツのほうが、ものすごく的確に傷が見えます。
カタチは同じ丸であるけれど、 コイツにはこの「オレンジ色」っていう色味を持たせています。
これで照らすと違う傷が見えます。

そのかわり、蛍光灯の傷が隠れちゃいます。
だから両方で見ているんですよね。
うちの坂本社長も、蛍光灯の光じゃないと駄目なんですよ。
水銀灯じゃ絶対駄目なんですね。
光の長さが違うから本当の色が見えないんだって言います。。
そうですね。
ここの屋内で見える傷は、屋外へ行ったら見えないです。

まず基本は外で見ようっていう感覚で磨きます。
ただ扱っている車両でもわかると思いますが、ガレージに入れている人とかは、
普通にあり得る想定なので、 上から横から下まできっちり磨きます。

あとは、プロは「オーロラマーク」とか「磨き跡」を絶対に残しちゃいけないわけですよ。
それを最終確認するために、 この蛍光灯でいっぱい照らすということをします。
まあどこの磨き屋さんも基本的にたぶんそうですね。
おもしろいことに値段が安いと不安って言う人もいますよね、この世界は。
そういう人もいます。
都内とかだと、いまだにコーティングとかが本当に高いんですよ。

場所での落差があるんですよね、この業界は。
東京のユーザーさんは15万からが普通。
それが神奈川にくるだけで 「何でBMWが8万円でやってもらえるの?安くない?」
という感覚。
まあ、あたりまえですけど、東京と神奈川では地価が違いますもんね。
そこです、そこです。
東京は、駐車場1台分だけで、こっちでアパルトマンを借りられちゃうような
かなりシビアな駐車場代なわけじゃないですか。

だから、おかしな話ですが、そういう感覚を持っている人にとっては
価格を安くすることが逆にデメリットになっちゃう場合もありますよね。
安いから、コーティングもそれなり。そんなイメージになってしまうんですね。
ちなみに窓ガラスの撥水コーティングですと、どの作業が一番ヤマになるところですか?
僕は、どのクルマにしてもどのコーティングにしてもなんにしても
基本の下処理ですね。

簡単な油膜落としだけでは、ガンコなウロコは取れないので、
そのままガラス撥水剤をしても意味がないんですね。
ですから、クルマが来たらウロコの状態を確認して、ご本人にいろいろ質問をします。
「そうそう、ウロコを気にしているんだよね。」っていったら
そこには下手すると1日がかりの場合もあるんですよ。
その分のお時間などを頂戴します。当然料金がかわってきます。
ウロコで1日かかるはわかる気がします。
だってあの作業はほんとうに気が遠くなりますもん。
ボディーに関して言えば、新車か新車じゃないかっていう2通りにしか分けていないので、
中古で来たら、もう基本メニューはこっちだよ。という話です。

ボディーのウロコはまだいいんですよ。 取れやすいんです。磨けるから。

それもあまりに強固すぎる場合は、特殊な溶剤で落とす場合もあります。
表面にのっている特殊なコーティング剤やイロイロなものを落としてから磨きに入る。
ガラス(硝子)の方が、硬いものについたものほど大変なことはないです。
削り落としていくんですもんね。
溶剤をつかっていく作業については、あまりにも化け学要素たっぷりで
とても、今回の取材だけでは収まりきらない世界でした。

ヒトクチで「ボディーコーティング」と言っていますが、
それには、目に見えるキズや見えにくい傷、触らなくてはわからないものなど、
プロの眼と経験が息づいているのだと深く感心させられました。

ぜひ、ご希望がございましたらご相談ください。

≪終わり≫

2013.12.12更新